INTERVIEWわたしのセルフメディケーション

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「アミノ酸の濃度バランスで『がんリスク』が分かる」

アミノ酸は、私たちの体をつくる大切な要素です。そしてまた、食事を摂って「美味しい」と感じるうま味を構成しているのもアミノ酸。今回のヘルシーインタビューでは、アミノ酸のスペシャリスト安東さんと村松さんに、アミノ酸濃度バランスによって早期に病気を見つける画期的な技術についてお話をうかがいました。

アミノ酸はどんな役割をしているのですか?

 アミノ酸は私たちの体をつくる基本成分で、体重の2割くらいを占めています。血液中には、ごく微量なものも含めると数百種類が存在し、代表的なものは20種類程度になります。生物学的、科学的に性質が異なるアミノ酸が100個、200個と連なっているのが「タンパク質」です。タンパク質の種類は10万個くらいあり、形や大きさが異なる20種類ほどのアミノ酸でできています。
 アミノ酸の役割は主に3つあって、1つ目は筋肉やコラーゲンといった“骨格”を作る。2つ目に、エネルギーをつくり出す。エネルギーとして最初に使われるのは、「糖」なんですが、糖が枯渇すると次に使われるのがアミノ酸です。「アミノ酸(タンパク質)」は、人間の活動の基になるエネルギー源となるので、「糖」や「脂質」と共に三大栄養素と呼ばれています。3つ目が情報を伝達する役割です。例えば、アミノ酸自身がシグナルになって、筋肉のタンパク質の合成を促したりすることが知られています。このように様々な機能をもっているのが、アミノ酸の面白いところですね。

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アミノ酸で病気のリスクが分かるのですか?

 血液中のアミノ酸濃度は、代謝のコントロールによって一定に保たれていていますが、病気に罹患したりするとアミノ酸濃度が変化することが知られています。例えば、がん患者さんのアミノ酸濃度バランスは健常な方に比べて大きく変化することが研究によって分かりました。また、がんの種類によってもアミノ酸濃度バランスの変化が異なることがわかりました。そこで、健常者のアミノ酸パターンとがん患者のアミノ酸パターンを統計的に解析し、がんに罹患している確率を算出するアミノインデックス®がんリスクスクリーニング(AICS®)を開発しました。現在は、肺、胃、大腸、膵臓、前立腺(男性)、乳腺(女性)や子宮・卵巣(女性)の男性5種、女性6種のがんのリスクの評価が可能です。
 アミノ酸パターンを算出する式にデータを入れると、0から10のAICS値が算出され、AからCランクに分類されます。例えば胃の場合、Cランクだと通常の罹患率の約10倍の確率で、がんに罹患しているリスク(可能性)があるといえます。

健康な人の血中アミノ酸濃度パターン(左)と肝臓疾患のアミノ酸濃度パターン(右) (出典:Q.Zhang et al: Hepatology Research 34(2006) 170-177)

PROFILE

安東 敏彦さん 村松 孝彦さん画像

味の素株式会社 アミノサイエンス事業本部 理学博士

安東 敏彦さん 村松 孝彦さん

安東敏彦(あんどう・としひこ): 大阪大学大学院理学研究科にて天然物有機化学を専攻。1981年に修士課程を修了し、味の素株式会社入社。分析研究所にて天然物の構造研究、アミノ酸分析などを担当。1990年に米国サンディエゴに留学。2004年より研究開発戦略部にてアミノインデックス開発を手がける。ライフサイエンス研究所でのアミノインデックス研究を経て、2010年よりアミノインデックス事業に従事する。(写真左)

村松孝彦(まつむら・たかひこ): 大阪大学基礎工学部情報科学科に入学し、コンピュータサイエンスを学ぶ。その後、奈良先端科学技術大学院大学に入学し、情報生命学を研究に従事し、2006年に修了。博士(理学)。味の素株式会社に入社。統計解析技術を活かし、アミノインデックス®の研究開発に携わる。2015年に早稲田大学ビジネススクール修了。現在は事業部門にてアミノインデックス®のマーケティング業務等に従事する。

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