INTERVIEWわたしのセルフメディケーション

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「一人ひとりがヘルスリテラシーを高めることが大切です」

女性のやせを解決していくためには、「個人的な要因」とその背景にある「社会的要因」の両方からアプローチしていくことが大切だと、林先生は言います。後編では、情報社会に生きる私たちにとって、健康問題と向き合っていくために何が必要なのかを、林先生と一緒に考えます。

若い女性のやせの問題を解決するにはどうしたらよいでしょうか?

若い女性のやせの問題を是正するには、その背景にある個人の要因(知識や関心等)だけでなく、個人を取り巻く周囲の人々との関係や社会環境の整備による影響を考える必要があります。

個人の要因を改善する方法としては、ヘルスリテラシーを高めることがあります。ヘルスリテラシーとは、あふれる情報の中から、自分に必要な、信頼できる情報だけを取り出して、上手に活用する力のことです。この力は、単に教育履歴が高いからといって身につくものではありません。情報があることに気付き、自分で収集して活用するリテラシーは一般教育のなかではなかなか身につきにくいです。

以前、大学生向けの保健学習に関する教育環境整備に関する研究に携わりましたが、改めて学習の時間をとることの意義を、教育実施前後の知識量の変化から実感しました。現在は、インターネットなどのメディアからの情報があふれています。メディアに乗せられて誤った情報に飛びついてしまわないように、もっと学習する機会を増やすことが求められます。

情報リテラシーを身に着けることが重要ですね

適切な食事を整えるための環境面では、「食物へのアクセス」と「情報へのアクセス」、その両方が良好な状態になるのが望ましいです。食物にリーチできてもそれをどのように、どのくらい食べたらよいかなどの情報環境が適切でなければうまくいきません。

したがって、適切な食物の提供とそれに関する正しい情報やわかりやすい情報の提供が求められています。例えば、その食品の栄養価がどんなに優れていても、1回あたりにどのくらい食べるのが適量かその情報の読み方がわからなければ適切な摂取にはつながりません。食品表示に関する法律が改正されましたが、まだまだ食環境の整備は改善が必要と感じています。

若い女性のやせの問題に関しては、さらに社会の関心を高め、歪んだボディイメージを生む社会文化的な規範を改善し、個人に向けた適切な情報提供の機会や、望ましい食生活を実現する社会環境の整備が必要です。女性のやせの問題は、当事者の現在の健康状態だけでなく、社会保障を揺るがす高齢者の医療や介護の問題への進展や、日本の将来を支える次世代の健康にも影響します。改めてその重大性にぜひ気づいていただきたいと思います。

PROFILE

女子栄養大学 栄養学部専任講師

林 芙美先生

はやし・ふみ 1999年米国デラウェア大学健康科学学部卒業後、米国ティーチャーズカレッジ・コロンビア大学健康行動学研究科へ、01年に米国登録栄養士、帰国後、08年に東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医学博士号を取得、09年から女子栄養大学食生態学研究室研究員、11年に千葉県立保健医療大学健康科学部栄養学科講師となり、15年からは女子栄養大学栄養学部専任講師を務める。著書に、『これならできる食生活改善』『アメリカにおける栄養モニタリング』『エッセンシャル栄養教育論』など。

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