INTERVIEWわたしのセルフメディケーション

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「女性の“やせすぎ”は要注意。やせがもたらす健康リスクとは?」

意外に知られていませんが、日本では生まれてくる赤ちゃんの低体重化が目立っています。その割合は10人に1人という高い率となっており、赤ちゃんは成人後もいろいろな問題を抱えることになるとされています。その背景の一つにあるのが、若い女性のやせすぎ問題。赤ちゃんだけでなく、女性の健康にも影響を及ぼすこの問題にどう対処したらよいのでしょうか。ご専門の立場から、女子栄養大学の林先生にうかがいました。

低体重の赤ちゃんが増えている理由について教えてください。

1990年代以降、日本の低出生体重児(出生体重が2500g未満)の比率は増加傾向にあって世界的に見ても突出しています。その割合はここ10年ほど約10%にもなっています。つまり、10人に1人が低体重で生まれているわけで状況は深刻です。全般的に脆弱な傾向にあるだけでなく、成長してからも高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかりやすいという報告があるほか、精神疾患との関連性も研究されています。母親の年齢(若年妊娠、高齢妊娠)、低栄養、喫煙歴などが、胎児が子宮内で発育不全になる母体側の原因と考えられています。母体の低栄養につながる背景要因の一つに、妊娠可能な年齢の女性の「やせすぎ」があると考えられています。

若年女性のやせの問題は、すぐに医療費に結びつかないからか、メタボや肥満など生活習慣病に隠れてしまって、時々思い出したように取り上げられる程度。継続的には注目されません。国民栄養調査(現在は国民健康・栄養調査)をもとにした2000年時点の報告では、やせの問題は既に1970年代からその傾向があるということが指摘されているにも関わらずです。

「やせ」が問題なのは若い女性だけなのでしょうか。

ボディ・マス・インデックス(BMI:体格指数)で18.5未満を「やせ(低体重)」と言います。やせの現状をみると、20代女子での割合は10年前に比べて若干落ち着いてきています。でも他の年齢層に比べると依然として高いのでまだ安心はできません。一方、40代では10年前に比べてやせの割合は増えています。出産年齢も高まっており、従来は35歳以上が高齢出産とされていましたが、現実には40代でも初産が増えている。ですから若い層だけでなく、40代前半までは不健康なやせの是正が重要なのです。

なぜ若年女性で不健康な「やせ」が多いのでしょうか?

背景の一つとして考えられるのは、誤った「ボディイメージ」です。つまり自分の体型を太っていると考える傾向が目立つのです。実際にはBMIは少ないのに、自分は太めだと思い込んでいる。こうした誤ったボディイメージを持つ女性が多いことが原因の一つと考えられます。このような歪んだ認識を是正することが重要と考えます。

PROFILE

女子栄養大学 栄養学部専任講師

林 芙美先生

はやし・ふみ 1999年米国デラウェア大学健康科学学部卒業後、米国ティーチャーズカレッジ・コロンビア大学健康行動学研究科へ、01年に米国登録栄養士、帰国後、08年に東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医学博士号を取得、09年から女子栄養大学食生態学研究室研究員、11年に千葉県立保健医療大学健康科学部栄養学科講師となり、15年からは女子栄養大学栄養学部専任講師を務める。著書に、『これならできる食生活改善』『アメリカにおける栄養モニタリング』『エッセンシャル栄養教育論』など。

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